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島の魚食文化 [口永良部島 滞在記 - The Origin –]

徐々に魚突き(いよつき)の腕を上げた。コメジロの次は「ココダイ」を突いた。ココダイはコショウダイとも呼ばれ、全体に薄紫色の魚体の魚で、背中の上部、背びれ、尻尾に大粒のコショウをまぶした紋様がある。最初にココダイを突いたのは偶然だ。ココダイは突き易い魚で近づいても悠然と泳ぐ。大突き(銛)で仕留めてヨットマンに見せた。ココダイは魚突きの対象魚としてはマルだった。傷みの早い魚ゆえ市場には出しにくいが、刺身にして食べるのに向いた魚だ。

海中でそれらしい魚を突いてはヨットマンに見せ、魚突きの対象となる魚か確認することが続いた。午前中に船上でヨットマンが伊勢海老漁の網上げをし、僕は伊勢海老を網から外す。港へ戻り網を整理し、夕方に漁船で再び海に向かう。ヨットマンが網立てをしている間が、僕の魚突きの練習時間だった。魚突きの対象魚か否かの判断は第一に食べて美味しいかだ。同時に素潜りをして突くだけの労力を費やす価値があるか否かの暗黙とした判断基準もある。(漁師は魚全てを大事にする価値観を持っており、魚の種類で区別することを口に出しては言わない。)

口永良部島の魚食文化では突いた魚が造り(刺身)で一番美味しいと言う。突くことで瞬間的に血抜きし鮮度が保たれるからだ。釣りや網で獲った魚よりもプレゼントすると島民に喜ばれる。僕は良い魚が突けた時は大抵島の人にプレゼントした。島は高齢化が進んでおり「潜り」をする人は何名かの漁師を除くと本当に少なくなった。喜ばれると嬉しいものである。

「クロ(メジナ)」も突いた。魚突きの対象魚だ。クロは身にクセがなく、刺身、塩焼き、煮付けとどんな料理にも合う。島の人々にも人気がある。

(クロ(メジナ))
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「オジサン」を突いたこともあった。オジサンはウミゴイとも呼ばれ淡水魚の「鯉」に外形が似ている。鯉の様な髭も有り全身が朱色である。アラ系の魚を狙っていた所(アラ系は魚突きの対象魚の王様である)、当時アラに関する知識がなく、アラと思い海底で這って泳ぐオジサンを突いた。ヨットマンにアラではないと笑われたが、味噌汁や鍋物で美味しい魚だと言われた。

(オジサン)
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口永良部島の魚食文化を学び魚突きをするのは本当に楽しい。只、地魚を食する魚食文化も口永良部島ですら斜陽の様相を帯びる。島には農協系のスーパーAコープが有り、刺身やノルウェー産の冷凍魚も販売されている。島民は海と共に、魚と共にある人々だが、グローバル化する社会ではノルウェー産の鯖が島の食卓並ぶ。

グローバル化社会の破壊力はほんの身近な習慣にも忍び寄る。その好例だ。

以上

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